「第二のミッドウェー海戦」で負けるな

時代を読む 第130回 原田武夫

時代を読む 第130回 原田武夫

ただし事態が厄介なのはここから、なのである。ご存じのとおり、我が国の第2次世界大戦における敗北は緒戦に近い「ミッドウェー海戦」(1942年6月)には決まっていた。米国が最新鋭レーダーを駆使し、戦闘機を適時的確に配置したのに対し、我が国の司令官らは目視に依存する中、敵の居場所をつかみ損ね、「爆雷」か「魚雷」か、いずれかを戦闘機に搭載するかの判断を誤り、そうこうしている間に敵襲を受け、貴重な航空母艦4隻を失ってしまったのであった。

今も全く同じなのだと筆者は考えている。今、我が国の多くの同胞たちが「これは危ない、金融・経済に手を出すことは控えるべき」と考え、フリーズしている。しかし、実際にはこの瞬間に多くのマネーが我が国に飛来し、信じられない安値で我が国由来の金融商品を買いあさっているのである。それでも我が同胞たちは動かない。為替レートが円高ドル安に動き、物価も上がる中、危ないと信じ込んでいるからである。ところがその意味での「激変」が生じるのがやや先ということになると、その間は我が国を舞台とした派手なバブル局面となるのだ。目の前で外国勢が巨額の利益を得るのを見て、ようやく我が同胞たちも動き出す。ところが、その瞬間に「次の次の局面」としてのさらなる解きが始まってしまうのである。身構え、備える態勢へと戻るのも虚しく、我が国は国富をあらためてその時、大いに失うことになる。

今こそ、先を見通し、事が起きる前に動くことが必要なのだ。さもなければ80年余の時を経て、私たちニッポン人は全員、今度は金融マーケットで行われる「第二のミッドウェー海戦」で大敗北を喫することになる。―そう、強く危惧するのは果たして私だけだろうか。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』2024年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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