北東から南へ吹く「気」をつかめ

時代を読む-第35回 原田武夫

時代を読む-第35回 原田武夫

時代を読む――原田武夫 第35回 北東から南へ吹く「気」をつかめ

今、私はこのコラムを沖縄・小浜島の海辺で書いている。日の出の直前だ。薄暗い中、鳥たちが起き始めている。全くの自然。「南の島」の一日の始まりだ。

全国津々浦々で企業支援や講演、そして調査分析のための視察を行っていると、ふと気づくことが一つある。それは「必要な時に必要なことを、しかるべき形で伝えてくださる方々」が常にいるということだ。

かつて京都・天橋立で講演した時のことだ。聴衆としていらしていた方から講演後にお声掛けいただき、名刺を頂戴した。すると数日後、いくつかの論文が送られてきたのである。目を通すと、京都における現代の公共建築は「風水」あるいは「陰陽道」によって律せられていると書いてあった。当時、全くの浅学であった私は「風水」「陰陽道」といってもピンとはこず、いただいた論文も机の上のインボックスの中に放置したままにしておいた。

しかし、この時、どういうわけか記憶に焼き付いたことが一つあるのだ。それは「これからの20年間、北東から南へと『気』は吹いていく」という旨の、この論文の中にある一節である。何でも中国伝統のいわゆる「気学」ではそう解釈しているのだという。20年に一度、向きを変えるこの「気」の流れは、これにうまく乗ると大願成就し、逆らってしまうと、またぞろ失敗すると言われている。もっともこの時もまた、「そんなことあるんだ」といったレベルの認識で、私がうっちゃっておいたことは言うまでもない。

その後、2011年3月11日に我が国では「東日本大震災」が発生した。東北復興の現状とりわけ福島第一原子力発電所における状況を見る限り、我が国における「北東」においては依然として課題が山積している。だが、そこにおける課題は言わば、戦後の我が国において放置されてきたものでもあるのだ。

率直に言うと、これら課題の解決を抜きにして我が国に未来はない。もっと言うならば、そうした諸課題の解決に向けたブレークスルーを得ることができるならば、我が国は一気に浮上するはずなのだ。その意味で実は「気」、すなわち我が国、そして世界を上向きのトレンドにする種はまさに「北東」にありと言うべきなのである。

他方で同時に発生し続けているのが「異常気象」の数々だ。目下、我が国を始め北半球の各国では「暖冬」が続いている。したがって異常気象であるとは言っても、「まぁ、何とかなる」といったレベルの認識しか世間一般では持たれていないように見受けられるが、どうだろうか。

これに対して世界の賢者たちは全く違う認識を募らせている。どうやらこれから我らが地球はかつての「マウンダー極小期」(1645 ~ 1715年)にも似た、太陽黒点の極端な減少期に入りそうなのである。その結果生じることとして、大いに危惧されているのが加速度的な寒冷化の進展だ。目下の暖冬はそれを控えた逆向きの前兆だということになる。人間、寒くなると動きが不活発になる。免疫力が低下するためであるが、そうであるからこそ富裕層、あるいは成功しているリーダーシップから順番に「暖かい地域へ、暖かい地域へ」と移動していくのである。そこで向かう先は当然のことながら「南」だ。「暖かい南へ」を合言葉に人々は群れ動いていくことになる。この動きを迎える南の地はヒト・モノ・カネが移動してくる結果、大いに繁栄する。「南の時代」の始まりだ。

いかがだろうか。時代は確かに「北東から南へと『気』が吹く時」を迎えているのだ。北東にビジネスを求め、南とのご縁ができたらば大切にする。そんな振る舞いを見せている人物がいたら要注意だ。なぜならその御仁は「見えない力」を我が物にする能力を持っているのだから。静かに見習い、この「気の流れ」を味方にしたいものだ。

原田武夫(はらだ・たけお)
元外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。
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ラグジュアリーとは何か?

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