この原稿は2月だというのに、恐ろしく暖かい日に書いている。街行く人々はマフラーもせず、コートも着ていない。先日までの厳冬といった様子が全く嘘のようである。
しかし、地球の裏側を見るとこうした様子は一変する。米国の一部地方では何と「マイナス50℃」にまで気温が達し、凍死する者が多数出たと報じられている。また、英国ではそこまでではないにせよ、激しいブリザードで全土が凍り付いていると聞く。しかも、これらの状況は昨年より明らかにひどくなっている。
こうした中で、あの米航空宇宙局(NASA)が「考え方を改めた」旨の発表を行ったことで物議を醸し始めている。これまで気候変動というと「地球温暖化」ばかりを語ってきたが、「地球寒冷化」こそが本当の課題なのではないかというのである。それだけではない。米国では有数の報道機関が同じ論調に切り替え始めている。例えばCNNも「こんなに寒いというのに誰が温暖化だとまだ主張するのか」といった論調を華々しく掲げ始めているほどなのだ。
この流れを読者は、どのようにご覧になられているだろうか。「いつものことだ」「また数年も経てば手のひらを反すのでは」などと考えているのではないかと思う。しかし今回だけは違う(Thistime is different.)なのだ。そのことをこの場を借りて、改めて強調しておきたい。
私は2012年ごろから「これから起きる本当のこと」として、こう述べてきた経緯がある。
「既に太陽活動の激変が発生しており、とりわけ黒点数が激減することを通じて太陽風が吹かなくなることで磁力線に変化が生じている」
「このことで地球上に降り注ぐ宇宙線に変化生じつつあり、さらにそれを受けて、とりわけ赤道直下の海洋が暖められ、大規模な低気圧が発生し、大陸に向けて台風やハリケーンとなって吹き寄せている。これが冬になると豪雪をもたらすのである」
「北極圏を除く北半球では激しい気候変動が加速度的に発生する。明らかにそこでは寒くなるのであり、免疫力の著しい低下が生じる中、人々は次々に降りかかってくる感染症の波にのみ込まれるようになる」
「最悪の場合には命すら落とすため、人類はあらゆる面で活動を停止・緩和していく。当然、グローバル経済は緩慢なものとなって行かざるを得ず、放っておくとデフレ縮小化が著しくなる。これを防ぐため、デジタル経済の導入と拡大が図られ、かつプレーヤーとしてこれまで差別・抑圧されていた社会的な集団の参加が促されるが、結局、間に合わず、人類社会で惨劇が発生する」
2012年ごろ、こうしたスキームに則た「未来予想図」を示しても、聴衆は今一つピンと来なかったことを今でもよく覚えている。しかしどうだろうか、あれから7年が経ち、明らかに以上述べたことは「現実」になっているのだ。感染症一つとっても、我が国でのインフルエンザや急性胃腸炎といったウイルス性疾患の爆発的な拡大は目を覆うばかりなのである。しかも状況はますますひどくなってきているのであって、もはや冬は確実に「人類が続々と死ぬ季節」になりつつあるというのが現実なのだ。
そうした中である賢者からこんなことを言われた。――「あなたが言っているスキームでは要するに太陽活動が全て悪いように聞こえてならない。だが本当にそうなのか。本当は全く違うところに原因があるのではないか」
この御仁いわく、この問いかけに対する答えを導き出すカギは「重力と引力」にあるのだ。そして私たち人類が明らかに分不相応な消費社会を創り出すなどした結果、重力が多大にかかり始め、これを打ち消す引力が働いている間はよいが、徐々にバランスを失う中で端的に言うとある種の歪(ゆがみ)が生じつつあるのだというのである。
「これからすさまじい出来事が起きます。2021年から2022年までの間が決定的な溝であり、人類が生き残れるかどうかは、その溝で何を考え、どう行動するかにかかっていると言ってもいいでしょう」
御仁はそう私に語りかけてくる。さて、どうなるのか。これから3年ほどした時、私たちは果たして笑顔でいられるのか否か。勝負は既に始まっている。
原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています