あなたに「2021年の展開」は見えているか?

時代を読む-第91回 原田武夫

Text 原田武夫

時代を読む-第91回 原田武夫

世界地図とお金

今年(2020年)は我が国だけではなくグローバル社会全体にとって正真正銘の「転換期」が訪れた年であった。

「早ければ2018年、遅くとも2020年までに世界秩序は転換することになっている」と米国のユダヤ・セファラディ系エリートの一族から耳にして早いもので16年余りの月日が経った。しかしあの時はそうした「警告」を聞いても馬耳東風であり、本当にそれが現実になるとはついぞ思わなかったのである。

しかし、今、そこでの「警告」は誰も否定できない「現実」になっている。

しかしここで強調しておきたいのは「むしろこれからの方が重要な展開になる」ということなのだ。新型コロナウイルスを巡り「第2波」どころか「第3波」すら語られるようになって久しい。そして日に日にグローバル社会全体が追い詰められていく中、「しかし、何かがおかしくないか?」と気づき始めている。

そうした中で「新型コロナウイルス予防ワクチン」なるものが続々と喧伝され始め、一体何が本当の良薬なのか、素人目には全く分からなくなっているのである。

こうした状況だからこそ、話をまずは「元に戻して考えるべき」だと私は強く感じている。冷静にそうした思考をし、それをベースにしながら今度は近未来、とりわけ2021年について考えてみる。そうすることで意外にもあらかじめ分かることが多くあるのではないかと思うのである。

第一に経済のことがある。新型コロナウイルスの蔓延が喧伝されたことにより、我が国のみならず、全世界的に商業活動、産業活動のいずれもが壊滅的なダメージを受けた。しかも「スペイン風邪」の昔であれば目視による蔓延状況の確認であるため、ある程度のところで「これでパンデミックは終わった」ということができたかもしれない。

ところがデジタルの現在ではそうはいかないのである。徹底的に患者数、罹患者数を詰めに詰めていく。そうすることによりパンデミックは「終わるに終わらない現象」になってしまっているという側面があるのである。そしてそれに引きずられるように商業・産業活動は崩壊を伴う停滞の渦の中に置かれ続けることになる。

第二に金融のことがある。すっかり無力であることが露呈した政府は(もうこの言葉は誰も使わないけれども事実上の)「ヘリコプター・マネー」をばらまいた。いわゆる「給付金」である。

ようやくこれで人心をつかみかけた各国政府であるが、ようやく生産が追いつき始めたPCR検査機器によって検査がしきりに行われることにより、「罹患者数」があまりにも律儀に産出されることになったため、またしてもパンデミックの追加現象に襲われてしまっている。

しかしそこでもまた政府は「打ち出の小づち」を振ればよいのである。また受け取る私たちの側も何かといえば「給付金」が降ってくるものだと思い込んでいる。その結果、大量のマネーが市中には存在する。ところが将来に向けた不安が残っているが故に誰もそのカネを使わない。GoToキャンペーンで大はしゃぎした我が国はとんだしっぺ返しにあった。旅行にも使えないとなるとあとは何か金融商品に投資でもするかということになり、揚げ句の果てに仮想通貨が値上がりし、実に30年ぶりの展開に日本株マーケットは勢いづいている。

こうした展開の「先」において「2021年に起きること」がすでに見えているかどうか。これがカギなのであるが、いかがだろうか。端的に言うならばグローバル・リーダーシップが( 十分「ワクチン・マーケティング」が終わったところで)「皆さん、もう大丈夫です」と大合唱をし始めれば事態は急激に変わるのだ。多くの国際会議が2021年5月以降のリアルな形での開催を2020年秋ごろより謳い始めていた。要するに「そういうこと」なのだ。

その瞬間、これまで市中でだぶついていたマネーが一気に動き始める。まずは株式マーケットだ。それでもまだ米欧中はいずれもそれぞれの問題で調子が悪いだろう。となると、残されるのはニッポン、そう我が国へのグローバル・マネーの集中投下しかないということになってくるのである。

名付けて「日本バブル」。この史上最大のプロジェクトで誰が本当は利益を得るのか。そこにこそ本当の「世界の黒幕」の影がほんのわずかだけ見えている。


原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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