アストンマーティン東京の本拠地となる青山ショールーム(敷地面積約1000平方メートル)が11月にオープンした。さらに隣接してアストンマーティン・ラゴンダ社が直接運営するブランドセンター、“The House of Aston Martin Aoyama”も幕を開けた。ブランドセンターにはヴィンテージカーの展示ルームや独自グッズの販売、地下にはBarもあり、アストンマーティンのフィロソフィーが感じられる。
今回のイベントでは、アストンマーティンの歴史的なモデルから、最新モデルまで展示され、“過去と未来”を存分に楽しむことができる。そんなアストンマーティンの世界を堪能する特別な一夜にご招待。
発揮される個性 アストンマーティン
Photo Dean Smith
Text Tatsuya Kushima
アストンマーティンのDB11にV8エンジン搭載モデルが登場。すでに発表されているV12モデルとは異なるスポーティーなキャラクターが強調され、卓越したパフォーマンスを実現する。メルセデスAMG製エンジンを搭載したアストンマーティン初のモデルとしても注目だ。
英国のジェントルマンズライフを語るうえで欠かせないクルマ、アストンマーティン。その精悍なたたずまいはご覧の通り。スタイリッシュなのは言わずもがな、威風堂々の姿に100年の歴史を感じる。今にもスーツを着たジェームズ・ボンドがフレームの中に現れそうだ。
ここで取り上げるDB 11は最新のテクノロジーで作り上げられた。基本構造から全て再設計された新世代アストンマーティンとなる。
DB 11は先におなじみのV型12気筒エンジン搭載モデルが発表され、今回その後を追うように新型 V8エンジン車が追加された。見かけはほとんど変わらないが、明らかにV12モデルとは異なるキャラクターを強調。開発陣はそれを「よりドライバーズカーに仕上げた」と語った。
実際にステアリングを握ったのは、スペインの観光都市バルセロナ。その郊外にある、いかにもヨーロッパらしい、貴族の別荘を改築したようなリゾートホテルを起点に試乗した。目の前のなだらかな丘陵地帯はイタリアのトスカーナ地方にも似ている。ただ、個人的にはオックスフォードやコッツウォルズのような街で乗りたかったが、それはまた別の機会にとっておくとしよう。
さて、DB 11 V8と称されたクルマはドイツのメルセデスAMG製 V8エンジンを採用。メルセデスAMG GTに搭載されるユニットと同じだ。二つのタービンで過給され、最高出力510ps、最大トルク675Nmを発生させる。
とはいえ、開発陣はしっかりアストンマーティンらしく味付け。ボッシュ製のエンジンコントローラーがそれで、アクセルペダルに対する加速からエンジンサウンドまで自分たちのものにした。音に関しては「AMG GTの音はアメリカンだが、我々はヨーロピアンクラシックに仕立てた」と語ったのが印象的だ。
面白いのは、12気筒よりもシリンダーが4本減ったことでエンジン搭載位置がフロントの車軸より内側に収まったこと。結果前後の重量配分は12気筒の前51:後49に対し、前49:後51に逆転している。
そしてそれがそのまま走りに直結。リゾートホテルを出発し、尾根をつなぐワインディングを走ると強く感じた。前にエンジンを積んでいるとは思えないくらいハンドリングは軽快で、クルマの挙動もドライバーを中心に回転する感覚を得る。一見してロングノーズのスタイリングだが、鼻先の軽さは抜群である。
乗り心地が良いのも付け加えたい。段差でガツンときそうな硬い乗り心地を想像するが、大間違い。ブリヂストンと共同開発した20インチの大径タイヤはジェントルで乗員を優しく包み込んでくれる。
もちろん、エンジンパワーは言うことなしで、スペックからも分かるように、とにかく速く、力強い。エンジンサウンドも明らかにメルセデスAMG GTとは違った。
といったキャラのDB 11 V8。選択肢が増えることは、我々クルマ好きにはとても喜ばしいことである。
●V8-POWERED DB11
ボディー:全長4750×全幅1950×全高1290mm
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
最高出力:375kW(510ps)/6000rpm
最大トルク:675Nm/2000〜5000rpm
駆動方式:RWD
トランスミッション:8速AT
価格:21,938,900円
●アストンマーティン・ジャパン・リミテッド
TEL 03-5797-7281
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています