メルセデス初のコンパクトSUV
1994年に登場したトヨタRAV4に代表されるコンパク トな街乗りSUVは、欧州メーカーにとっては全く盲点のニッチ・モデルであった。しかも実際はニッチどころか、2000年代に入ってこの市場は拡大し、北米では 20万台そして欧州では15万台の勢いで販売台数を伸ばしていた。さらにこの種のモデルは、量産乗用車のプラットフォームを使用できるために収益性も高い。そこで当然のように、柳の下のドジョウを狙うメ ーカーがその後は雲霞のように現れ、このセグメントは飽和状態にならんとしてきた。
しかし、ここにもまだ可能性が残されていたのである。プレミアム・コ ンパクトSUVである。そう、これまで登場したシティSUVは、すべて大量生産メーカーの手になる量販品であったのだ。そこに目をつけて今年4月北京モーターショーで公開されたのがGLKクラスである。
ベビー・メルセデスはハードボイルド
GLKはタイミングとしてはやや遅れてやってきた感は あるが、それだけに従来のコンパクトSUVにはない、いくつかの興味深い特徴がある。
まずデザイン。長さ 4.53m、幅1.84m、そして高さ1.69mのベビー・メルセデ スSUVは、巷に溢れている柔らかな曲面で覆われたソフトSUVと違って、メルセデスのクロスカントリービークルGクラスを彷彿させる、無骨とも言える直線と面から構成されている。
この新たなコンパクトSUVに与えられた「GLKクラス」というモデル名は、メルセデスの伝統に則れば小型Gクラスという意味で、かなり意図的な戦略であることがわかる。もちろんこれはメルセデス・ デザイナーの将来的なラインアップ計画にも通ずるもので、このデザイン・エレメントはすでにニューCク ラスにも発見できる。
野性的な味つけで一線を画す
インテリアも、ベースはCクラスながら独特のもの。ナビゲーションはダッシュボード中央の高い位置にレイア ウトされ、視認性を高めると同時に、オフロード走行にも耐えるためポップアップシステムを止めて固定式にしている。
また走破性は並みいるソフトSUVを大きく超えている。まず4WDシステムはメルセデスのお家芸であ る4MATIC四輪駆動システム。トルクスプリットの基本配分比は45%、55%となっている。また最低地上高は約 20cm、アプローチとデパーチャー・アングルは23度、25度と十分な数値が確保される。もちろんダウンヒルスピ ードレギュレーションなども装備する。
この隠されたオフロード能力、そして意図的なデザイン上の野性味は、 アーバン・カウボーイ達への大きな魅力となるに違いない。日本への導入は年内の予定だが、価格や発売時期は 未定である。
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています