メルセデス・ベンツが昨年発表したCクラスは、現在ドイツを中心として世界のコンパクト・サルーン市場で大ブレークしている。ドイツ市場をみると発売以来今年4月までの総登録台数は3万3千台で、昨年同期の75.5% と言う驚異的な伸びを見せている。このCクラスのスポーツ・イメージを牽引しているのがC 63 AMGである。メルセデス・ベンツのハウス・チューナハイパフォーマンスモデルであるAMGは、2005年9月から新しい社長フォルカー・モルンヒンヴェークが指揮を執っているが、新しく発表されたAMGモデルは、いずれも際立ったデザインが与えられている。このC63AMGも、これまでのAMG以上にボンネットのパワードーム、大型のエアインテークを備えるフロントスポイラー、リアエンドのディフューザーなど一目でAMGモデルと分かる個性を放っている。
完全なるAMG製エンジンの拍動は
ボンネットの下に隠されるパワー・プラントも魅力に満ちている。最高出力457馬力、最大トルク600Nmを発生する6.3リッターV8エンジンは、AMGによる独自設計によるもの。本社工場で、一人のエンジニアがビス1本から完成まで責任を持って担当するのだ。走り出せば、このエンジンが今までのメルセデ ス・ベースの大排気量AMGエンジンとは違うことがすぐわかる。高回転型で、3,000回転からでもパワーがジワジワと湧き上がるのだ。7速オートマチック・トランスミッションのシフト・フィールも非常に快適で、トルコンの常識を破るほど素早くダイレクトである。もちろんパドルでのスポーティなシフトも可能だ。ちなみにドイツにおけるテストでは、スタートから 100km/hまでの加速所要時間はカタログ通り4.5秒であった。 高速域のスタビリティは抜群なので、ストレスをほとんど感じることなく新幹線並みのスピードでアウトバーンを移動できる。それだけの能力を持ちながら最高速度はリミッターにより250km/hに制限されるのは正直残念である。
スポーティにもビジネスにも
インテリアも、「男の仕事場」という形容がぴったりな機能的で質の高い空間。このC63AMGならば一台で、ウィーク・デイはビ ジネスマンズ・エクスプレス、そしてウィークエンドはスポーツカーとしてパーソナルな使い分けが可能である。
ただし家族 とのショッピング・ドライブでは注意したほうが良い。リアシートに乗せた家族からは、ハードな乗り心地に若干不満の声が上がるかもしれないからだ。
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています