ベントレー コンチネタルGTC

Text Ryousuke Kitamori

21世紀の新生コンチネンタル・シリーズ

ベントレー

ベントレーは元来スポーツカーメーカーである。創業者W.O.ベントレーは、1920年代にルマン24時間レースで5 回も優勝するほどのスポーツカーを作り上げ、それを見たブガッティは「スピードトラック」と罵りながらも賞賛した。その後、世界的な大恐慌の煽りを受けたベントレーは1931年にロールスロイスへ吸収され、長らくロー ルスの双子車の一ブランドとしてのみ名を残すことになるが、近年、フォルクスワーゲンがこの偉大なるブランドを買収。そして復活させたのが往年の上質なスポーツカー、コンチネンタル・シリーズである。それは、1952 年に登場するなり世界最速にして最も美しいと評された「タイプRコンチネンタル」の後継で、ベントレーが誇るスポーツカーとしての資質と上質な優雅を巧みにバランスさせたモデル。中でもオープンボディを持つ特別 な一台がこのGTCである。

オープンボディは永遠の伴侶と共に

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ベントレーを街で乗ると、実に多くの視線を集める。クーペボディーであればその視線の先の主役はあくまで もベントレーなのだが、これがオープンとなるとドライバーがその主役に躍り出る。あらゆる意味で自信のある、そして全てを陽のもとに晒すことのできる者でなければ、とうていこの車に乗りこむことはできまい。クー ペのGTであればアヴァンチュールという偽りの恋も似合いそうだが、オープンタイプのGTCでは永遠の愛を誓った伴侶との風光明媚なグランドツーリングがよく似合う。たとえば伊豆の海岸線でも信州の高原でもいい。 ドライバーは純粋にドライビングを楽しめばいい。爽快に感じる速度であってもパッセンジャーシートの伴侶が不快な思いをすることはない。ボディーの傾き、路面の段差、オープンによる風の巻き込みなど、そんなものは全くと言っていいほど感じることはない。

どんなシチュエーションも優雅にこなす

CONTINENTAL GTC
CONTINENTAL GTC
エンジン:W型12気筒 ツインターボ 排気量:5998cc/最高出力:411kw(560ps)/6100rpm
最大トルク:650Nm(66.3kgm)/1600rpm

いかなる走りをしても乱れることのない振る舞い。

それは、560馬力という強心臓がもたらす出力を満遍 なく路面に伝えるアウディのクアトロシステムの賜物だ。つまりは全天候型、雪上ドライブですら余裕で こなす。ラグジュアリーなオープンボディでは唯一と言える性能だ。不意の天候変化も、約25秒で開閉で きるトップがあれば問題ない。ソフトトップを閉じれ ば完全なる静寂が訪れる。うたた寝をするパッセンジャーの伴侶の邪魔をすることも無いうえに、一人でならオーディオによるオーケストレーションを楽しむことも出来る。つまり幌を閉じればクーペと何一つ変わらないのだ。衝動に駆られたなら、トップを閉じればアヴァンチュールも……。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。