ライバルはクルーザーと不動産

ロールスロイスのラインアップに魅力的なモデルが追加された。
オープントップのドーンである。DAWN(ドーン)とは「夜明け」の意味。
1950年代のモデル、シルバードーンに由来する。そのドーンのステアリングを自動車評論家の九島辰也氏が一足早くケープタウンで握った。

Text Tatsuya Kushima

ロールスロイスのラインアップに魅力的なモデルが追加された。
オープントップのドーンである。DAWN(ドーン)とは「夜明け」の意味。
1950年代のモデル、シルバードーンに由来する。そのドーンのステアリングを自動車評論家の九島辰也氏が一足早くケープタウンで握った。

ROLLS-ROYCE DAWN

ロールスロイスほど自動車評論家を悩ませるクルマはないかもしれない。今回オープンエアモデルのドーンの国際試乗会に参加してそんなことを感じた。

このクルマはゴーストファミリーの一員として開発された。フレームの基礎となったのは2ドアクーペのレイスで、その屋根を取っ払い6層からなるソフトトップを装着した。

ただ彼らのやることに抜かりはなく、レイスとは80%異なるボディーパネルを用いたり、構造にもかなり手を入れている。そんなこともあり、ファントムに倣ったレイス(もしくはゴースト)ドロップヘッドという名前にはならなかったそうだ。

というキャラクターのドーンに南アフリカのケープタウンで試乗した。英国人が開発した高級リゾートを起点とした国際試乗会である。

では走り出すとどうかだが、そりゃ文句なく快適であることは間違いない。ソフトトップは閉めればクーペ並みに静粛だし、巨大なエンジンが繰り出すパワーに不服はない。そればかりかどこまでも続くワインディングをこの大きなボディーがヒラリヒラリと駆けるから恐れ入る。ステアリングにクセはなく、なんともナチュラルに向きを変える……。

さてドーンをどう評価するか。それは野暮ってもんだろう。CEOの口を借りればライバルはクルーザーと不動産らしい。顧客の動向がそれを物語るとか。ただ、一つだけ言わせてもらいたい。ロールスロイスのエンジニアリングは相当なものだ。

●ROLLS-ROYCE DAWN
ボディー:全長5295╳全幅1945╳全高1500㎜
エンジン:6.6ℓ V型12気筒ツインターボ
最高出力:420kW(570ps)/5250rpm
最大トルク:780Nm/1500rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:8速AT
価格:37,400,000円

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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