鮮やかな転換点

2014年にミュルザンヌ ハイブリッド コンセプトを発表して以来、長きにわたって理想的なラグジュアリーPHEV、BEVの開発を続けてきたベントレー。そんな彼らが2030年までの完全カーボンニュートラル化を目指す第一歩として、満を持して送り出したのが、ベンテイガ ハイブリッドである。

Photo TONY TANIUCHI Text Yoshio Fujiwara

2014年にミュルザンヌ ハイブリッド コンセプトを発表して以来、長きにわたって理想的なラグジュアリーPHEV、BEVの開発を続けてきたベントレー。そんな彼らが2030年までの完全カーボンニュートラル化を目指す第一歩として、満を持して送り出したのが、ベンテイガ ハイブリッドである。

「私どもが目指すのは、持続可能なラグジュアリーカーメーカーとして世界をリードすることであり、その次なるステップがベンテイガ ハイブリッドなのです」

ベントレー モーターズのエイドリアン・ホールマークCEOがそう語るように、これまでスタンダードの「V8」を皮切りに、635psを発生する6リッターW12を搭載した「スピード」、V8をスポーティーに仕上げた「S」とラインアップを広げてきたベンテイガの第4のモデルとして2021年12月に日本に導入された「ハイブリッド」は、新たな事業戦略“Beyond100”の元で持続可能なラグジュアリーカーメーカーとして2030年までにエンドtoエンドのカーボンニュートラル達成を目指すベントレーにとって、大きなターニングポイントとなるモデルである。

ベントレー ベンテイガ ハイブリッド
ベントレー ベンテイガ ハイブリッド
エンジン:3リッターV6DOHCターボ+Eモーター、最高出力:449ps(システム合計)、最大トルク:700Nm(システム合計)、メーカー希望小売価格:22,800,000円
V8との違いは、ボディーサイドの“Hybrid”のバッジと、左サイドの充電ポートくらいとアンダーステートメントなベントレーらしさが漂う。

搭載されるエンジンは、単体で最高出力340ps、最大トルク450Nmを発生する3リッターV6DOHCシングルターボ。そこに最高出力126ps、最大トルク350Nmを発生するモーターを組み合わせることで、システム全体で449psの出力と、700Nmのトルクを発生。0– 100㎞/h加速4・3秒、最高速度285㎞/hと、必要にして十分以上のパフォーマンスを発揮する。

手元のスイッチで任意に変えられる走行モードは、電気モーターのみの「EVモード」、エンジンとモーターを効率よく活用する「ハイブリッドモード」、そしてバッテリーの充電量を維持する「ホールドモード」の3種類。いずれも走り出しはモーターが起動し、しかるべき速度やペダルの踏み具合に達した時に自動でエンジンへとバトンタッチするようになっているので、走り出しはEVのように静かでスムーズな印象だ。ちなみにEVモードだけでも最大で51㎞(WLTP値)の航続距離を誇るほか、最高速度も134㎞/hまで出るので、EVモードだけで日常使いを賄うことも十分可能だろう。

また、ハイブリッドモードでは、ナビゲーションに設定した目的地に到着した際にちょうど充電量がゼロになるように自動でモーターとエンジンのエネルギーコントロールができるようになっており、システム全体で858㎞とV8を上回る最大航続距離と併せ、長距離ドライブの大きな味方になってくれるはずだ。

さらに、リアラゲッジスペース下に容量17・3kWhのリチウムイオンバッテリーを配置したことで、車重は増えたものの、前後重量配分が50:50となり、バランスのいいしっとりと落ち着いたハンドリングに仕上がっていることなど、その洗練具合はハイエンド・ラグジュアリーSUVにふさわしい。そうした完成度の高さからも完全電動化を目指すベントレーの本気度の高さが窺える。

続いてフライングスパー ハイブリッドの発売を予定しているベントレー。彼らがこれからのクリーンラグジュアリーカーシーンを牽引するキーブランドとなるのは間違いなさそうだ。

●ベントレーコール TEL0120-97-7797 

※『Nile’s NILE』2022年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。