王者のゴルフ

2014年に創業したPXG。日本では2016年から本格展開しており、これまでの“ゴルフ界の常識”を打ち破る姿勢は多くのゴルファーを魅了している。なぜ人はPXGを求めるのだろうか。その理由を探るべく弊誌編集長がPXG東京フィッティングスタジオを訪れた。

Photo Satoru Seki Text Masato Ideshima

2014年に創業したPXG。日本では2016年から本格展開しており、これまでの“ゴルフ界の常識”を打ち破る姿勢は多くのゴルファーを魅了している。なぜ人はPXGを求めるのだろうか。その理由を探るべく弊誌編集長がPXG東京フィッティングスタジオを訪れた。

東京フィッティングスタジオ
東京フィッティングスタジオの踊り場には創業者のボブ・パーソンズがお出迎え

よく勘違いしている人が多いようだがPXG(Parsons XtremeGolf)はクラブメーカーではない。
ゴルフクラブとはヘッド、シャフト、グリップの大きく三つのパーツで構成されるがPXGはその中のヘッドを作るヘッドメーカーだ。

創業者はボブ・パーソンズ氏。ブランド立ち上げの際に大手ゴルフメーカーのデザイナーを引き抜いたり、トップ選手と契約を結んだり、とにかくその剛腕ぶりに注目が集まったが、全米で彼を知らない人はいない。世界一のドメイン取得会社「GoDaddy」の創業者でもあり、総資産は3000億円ともいわれる。

クールなフォルムが印象的なPXGのヘッドパーツ
クールなフォルムが印象的なPXGのヘッドパーツ。ギア好きにはたまらない光景だ

そんな大富豪の彼がなぜゴルフクラブの会社を?理由は至ってシンプルで自身がいいスコアでまわるためだ。パーソンズ氏は大のゴルフ好きで年間3000万円ほどもクラブにつぎ込んでいたそう。それなら自分で作ればいいと考えたのがきっかけだ。ただ、その経験がPXGの根幹になっている。

キャップのサインはその選手たちのもの
現在PGAツアーでは7名の契約選手がいる。キャップのサインはその選手たちのもの

パーソンズ氏の信念は「史上最高のクラブを世に送り出すために、一切の妥協を許さない」ということだが、最高のヘッドを作るだけでは不十分だと考えている。そこから唯一無二のゴルフクラブを完成させるのに必要なのがフィッティングだ。

最新シャフトが陳列されているフロア
最新シャフトが陳列されているフロアは圧巻。あらゆるオーダーに対応が可能。

パーソンズ氏が経験したのは〝自分に合ったクラブ〞の重要性。最高のハード(クラブ)と高度なソフト(フィッティング)の融合こそがPXGを瞬く間に世界のトップブランドに押し上げた要因なのだ。早速、世界最高のクラブフィッティングを体験することにしよう。

青山編集長の試打2
データを計測しながら専属のフィッターがベストなクラブを導き出す。東京フィッティングスタジオには三つの試打スペースがあり、最新機器で計測を行う

PXGのフィッティングの手順は、まず飛距離や要望などカウンセリングを行った後に自身が使用しているクラブのデータを計測し、同時にスイングのチェックも行う。そこから適正なヘッド、シャフトを組み合わせていく。フィッティングの方法はいくつかあるが打っては調整するという作業を繰り返し、ベストを導き出す。ただ、ゴルフは自然環境の中でプレーし、さらにはその日の自身の体調などもスイングに影響する。その時々で自分にとってのベストが微妙に変化するのがゴルフだ。しかし、そこにもPXGは対応する。車を買ったら手厚いアフターフォローがあるし、買い換えにも相談にのってくれる。なぜゴルフクラブではそれが無いのか? パーソンズ氏はそこにも疑問を抱いたわけだ。

ゴルフクラブ1
最新モデルの「PXG 0311 GEN3IRONS」。見た目の格好良さも秀逸。
ゴルフクラブ2
複数のビスが特徴的なPXG。このビスでウェートポジションをコントロールしている

ここで編集長の青山が試したヘッドについて触れておこう。「PXG0311 GEN3 IRONS」と「PXG 0311 WEDGES」は今年発売される新モデル。「PXG 0311 GEN3 IRONS」はT(ツアー)、P(プレイヤー)、XP(エクストリームパフォーマンス)の3タイプがあり、鍛造製法でヘッド内部が素材の異なるポリマーを使用した2層構造になっている。この構造によりマレージング鋼で作られた1.5㎜の薄いフェース面での高い反発力を実現している。通常フェース面の反発の強さと打感の良さは相反するものだが、これも内部構造によって極上のものへと仕上げられている。

店内
洗練された工房スペースではライ角調整をはじめとする様々なチューンが行われる。

「打感の良さに驚きました。単にやわらかいといったものではなく、フェースに球が乗っている感触が伝わってきましたね。久々に味わったフィーリングです。加えて驚かされたのはフィッティングの効果。シャフトを替えるだけでここまで振り心地が変わるものかと。同時にデータも良くなっているのだから申し分ないですね」(青山) また、ウェッジは「0311 FORGED」と「SUGAR DADDY 0311 MILLED」の2タイプが新たに加わる。

一般的にニューモデルは1年に1回、もしくは2年に1回発表されるがPXGではそんな決まりは存在しない。パーソンズ氏の信念である「史上最高のクラブを世に送り出す」の言葉通り、最高のものができない限り新作は発表されない。では、最高のクラブとはどのようなものなのか? その基準はパーソンズ氏が認めたものに限られるのだ。実はパーソンズ氏の腕前は一般的なアベレージレベルで、最高のクラブの条件の一つに“練習しなくてもうまくなる”がある。そんな魔法のようなことをPXGは追求し続けている。「クラブが仕事をしてくれる。自分はただ振るだけでいい。そんな感覚を持ちましたよ」と青山も話す。

練習しなくてもうまくなる方法は?と聞いたら「PXGを使うことだよ」とパーソンズ氏は答える。ゴルファーをまだ見ぬ高みに押し上げる。PXGは王者のゴルフを手にできる唯一無二のクラブなのだ。

●PXG JAPAN TEL 03-5635-1280 

※『Nile’s NILE』2020年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。