ボルボの最主力車種「XC60」がフルモデルチェンジされた。
蓼科の山道と高速道路を走った第一印象は、静かで柔らかな乗り心地が高級感を先代モデルよりも、だいぶ高めていることだった。より大型のXC90に負けない立派な走りっぷりがうれしい驚きだった。
高速道路など直線主体のところでは、フラットな姿勢を保ちながら淡々とクルージングしていく。一般道や山道などのカーブを走る時には左右に少々のロール(傾き)を伴いながら曲がっていく。柔らかくコーナーをいなしながら曲がっていく感覚も独特のもので、クセになる。
長く付き合うのならば、こうしたタッチの方が広く受け入れられるはずだ。乗せられている人も安らげる。試乗車はオプションのエアサスペンションを装着していたので、その効能も大きかったのかもしれない。購入する際には、おおいに検討に値するだろう。
パワートレインは当初、ガソリン、プラグインハイブリッドの2種類が用意されている。それぞれ交通の流れをリードするに十分なパワーを持っていて、何の不満も抱かされることはなかった。なお、ディーゼルは来春追加される予定だ。
どのユニットにも組み合わされる8速ATが賢く、状況に応じてキメ細かく変速を行う。それもあって、加速性能で不足を感じることはなかった。
後席の広さや静粛性、居住性も申し分ない。トランクルームの容量も十分で、収納についての工夫も車内のあちこちにあって使いやすい。
コネクティビティーの先進性も最近のボルボ車の長所と魅力の一つだ。クルマがインターネットに接続してユーザーが得られるメリットがよく認識されている。
XC60のモデルチェンジの最重要ポイントは実は他にあって、それは運転支援システムを最新のものにアップデートし、いくつかの機能にステアリング・アシストを組み合わせたことにある。
例えば、他のクルマや自転車、歩行者、大型動物(!)などへの衝突回避を支援する「ステアリング・サポート(衝突回避支援機能)」は、XC60で初めて採用された装備だ。同様に、「ステアリング・アシスト付BLIS(後車衝突回避支援機能付ブラインドスポット・インフォメーション・システム)」は、これまでインジケーターを点滅することで、ドライバーに後方から接近してくるクルマやバイクの存在を警告してきたが、それをステアリング・アシストと組み合わせることによって、車線変更時に衝突からの回避をクルマが助けてくれるのだ。
現在、こうした運転支援に関する装備と技術の進化は、ますます強くクルマに求められている。ボルボは、運転支援技術による安全性向上に以前から積極的に取り組んできていて、その最新の成果がXC60だ。
洗練された北欧デザインとともに、最新の運転支援技術が魅力を高めている。
VOLVO XC60 T5 AWD Inscription
ボディー:全長4690×全幅1900×全高1660㎜
エンジン:2.0ℓ DOHC水冷直列4気筒16バルブターボ
最高出力:187kW(254ps)/5500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kg・m)/1500~4800rpm
駆動方式:AWD
トランスミッション:8速AT
価格:6,790,000円
●ボルボ・カー・ジャパン お客様相談室 TEL0120-55-8500
※『Nile’s NILE』2018年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています