モダンデザインの巨匠ともいわれるドイツのディーター・ラムスはシンプルながら緊張感のあるプロダクトを手がけてきたことで知られる。そのモットーは、シンプルさとは形だけでなく、使う人との関係も重要だ、というものだったそうだ。
いくら美しくてもデザイナーの一人よがりに堕してしまっては元も子もない。使いやすく、かつ使うことが楽しくなる。人のためにあるのがベストデザインだというのである。この言葉がぴったりなのが、レンジローバー・ヴェラールだ。
オフロード性能に卓越していたクルマづくりで知られる英国のランドローバーが、街乗りにも使えるというコンセプトで開発したのがレンジローバー。伝統を受け継ぎ、さらに内外装を洗練させることで百花繚乱の様相を呈しているSUVの市場にあって一頭地を抜く存在感を持つ。滑らかな面で構成されたボディーは、ドアハンドルさえも必要な時以外は隠してしまうという徹底ぶりだ。レンジローバーを含めてランドローバーのデザインを統括するジェリー・マクガバン氏は、デザインの要は「精度の高さ」と語る。
その哲学は、薄型ヘッドランプと精緻な作りのグリルを持つフロントマスクから、美しい輝きを放つテールランプを備えたリアエンドに至るまで各所で実証されている。細部まで目配りされてこそ、真の意味での高品質性だという思想の結晶化だ。
インテリアも同様である。理知的レイアウトの操作類と、感触のよいレザーなどの素材選びが光る。居心地のよさと安心感と、それにいい意味での刺激性が備わっているのだ。
操縦性もすぐれている。380馬力の最高出力と450N・mの最大トルクを発生する3リッターV型6気筒エンジンを搭載。フルタイム4WDシステムの組み合わせだ。トルクは通常時は前輪と後輪に50対50で振り分けられ、状況に応じて前後輪いずれかに100%まで配分される。エンジンはトルクがたっぷりあって、しかも回した時のフィールもよい。ステアリングホイールには路面の状況が伝わるし、アクセルペダルの微妙な踏み込みに対する加減速も素早く、スポーツ性も高い。
安全装備を含めた運転支援システムもオプションを含めて充実しているし、スマートフォンやスマートウォッチを使い、寒い時や暑い時には乗る前に空調をかけておくなど、先進的なシステムも採用されている。
このクルマでオフロードに行きたくなるかは別として、どんな状況でも安心して走れるのは確かだ。高速でも市街地でも運転支援システムを利用することもできるし、卓越したオフロード性能がオールマイティーな使い方を保証してくれるといえる。
ウィンタースポーツやゴルフに出かけるのもいい。快適なラウンジのような空間を楽しみながら週末の旅行というのも、ぴったりの使い方だろう。旅先の宿では丁寧な対応をしてもらえる存在感がちゃんとある。
デザインとは人のためにある。その好個の例がヴェラールなのだ。
●ランドローバーコール TEL0120-18-5568
※『Nile’s NILE』2018年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています