ヨーロッパでは大切なゲストの宿泊に、たびたびシャトーへ案内することがある。400年、500年続く情緒深い石の建造物は特別な場所。アメリカ資本のラグジュアリーホテルもいいが、それとは一線を画す。それもそのはず、そもそも“城”なのだから、位の上の者しか足を踏み入れることはできなかった。つまりは、セレブの集うべきところ。それに自分たちの歴史を知ってもらうのにも効果的と言える。
これを日本に置き換えると、やはり京都というワードが浮かんでくる。古都であるここには大切なゲストに泊まっていただきたい、連綿と時を重ねた老舗旅館はもちろん、目にしてもらいたい景色は数多い。特に海外からのゲストには、日本の古き良き文化を知ってもらうには、絶好のシチュエーションと言えるだろう。では、そんな町を訪れるのには、どんな移動手段が好ましいか。
写真をご覧いただきたい。ベントレーである。このクルマはフライングスパーと呼ばれる4ドアセダンタイプで、高速での長距離移動を得意とする。エンジンは6リッターW12気筒+ツインターボで最高出力はなんと625㎰を発揮する。0-100㎞/h加速はわずか4.6秒、最高速度は320㎞/hというモンスターマシンである。スペック表を目で追えば、イタリアのエキゾチックカーに代表されるスーパーカーに属す。まさか四つのドアがあるとは思えないほどの数値が並ぶ。
よって東京から京都のロングドライブも快適そのもの。余裕のエンジンパワーとベントレーならではの乗り味が疲れの知らないツーリングを約束してくれる。そんな走りなのだから、大阪や神戸から京都あたりはなんの問題もない。あまりの快適さに、もっと走っていたくなるような気分にさせてくれる。
走りだけではない。フライングスパーのインテリアは、まさに快適なラグジュアリースペース。素材のクオリティーが高いのは当然のこと、クラシカルなアイコンを現代的なモダンテイストに仕上げている。ミッドセンチュリーを思い起こさせる丸型メーターや、エアベントのメッキ加工したレバーは情緒的だ。なめしの利いたレザーと木目模様までこだわったウッドパネルと合わせ、上質な空間を演出する。それはまるできっちり手を入れたシャトーのゲストルームのようでもある。これは匠たくみのワザとも言えるだろう。英国伝統のクラフツマンシップがここにある。
また、ビスポークが楽しめるのもベントレーの魅力の一つ。もしウッドパネルを古めかしいと思えば、そこをカーボンに替えることだってたやすい。スーツを仕立てるように自分のテイストで、インテリアをコーディネートするのも悪くない。
といった内容のベントレー•フライングスパーW12。英国のシャトーでもよく見かける一台だが、京都の町にもよく似合う。伝統を重んじるベントレーならではだろうか、国が替わっても、古都に通じるものを持ち合わせているのだろう……。
フライングスパー W12
ボディー:全長5315╳全幅1985╳全高1490㎜
エンジン:6.0ℓ W12ツインターボチャージド
最高出力:460kW(625㎰)/6000rpm
最大トルク:800Nm(81.6kg-m)/2000rpm
駆動方式:AWD
トランスミッション:8速AT
価格:24,150,000円
●ベントレー コール TEL0120-97-7797
※『Nile’s NILE』2015年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています