沖縄本島南部の東海岸に位置するエリアは、美しい白砂と遠浅の海が広がり、高台からは絶景を望むことのできる自然に恵まれた地域だ。しかしここを特別な地たらしめているのは、なんといっても琉球の創世神「アマミキヨ」にまつわる聖地の多さだろう。古くから現在に至るまで大切にされてきた信仰の証しを訪ねる旅が、多くの人を引きつける。
アマミキヨの足跡
アマミキヨは、沖縄の島造り、国造りをつかさどったとされる女神だ。琉球の神話では、アマミキヨは東の海のかなたにある理想郷「ニライカナイ」から海を渡って来たと言われている。
その降り立った場とされるのが、沖縄南部の東端、知念岬から5kmほど東沖に行った場所に位置する久高島(くだかじま)だ。そのため久高島は、現在に至るまで沖縄随一の聖地とされており、御嶽(うたき。聖域とされている場)や信仰を表す史跡が多い。また久高島は五穀発祥の地との伝承もある。
久高島に降り立ったアマミキヨが次に訪れたのが「ヤハラヅカサ」。沖縄本島に足を踏み入れた最初の地だ。ヤハラヅカサは百名ビーチ沖の海の中にある。現在は琉球石灰岩で作られた石碑が立ち、アマミキヨの聖なる足跡を示している。
ヤハラヅカサから沖縄本島に上陸したアマミキヨは、百名ビーチの北端にある崖を登り、その上にある「浜川御嶽(はまがわうたき)」を仮住まいとした。「浜川」とは、「海のそばの湧き水」という意味。ここでアマミキヨは旅の疲れを癒やしたという。そしてその後、しばらくの間は近くの洞穴に住んだと伝えられている。