創世の神を迎えし聖地 前編

沖縄の南部、現在の南城市にあたるエリアには、琉球の歴史の始まりにまつわる言い伝えが多く残る。とりわけ、沖縄開闢の祖である「アマミキヨ」にちなむ場が点在。そんなアマミキヨの伝説を追いながら、この地で生き続けている聖地をめぐる。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

沖縄の南部、現在の南城市にあたるエリアには、琉球の歴史の始まりにまつわる言い伝えが多く残る。とりわけ、沖縄開闢の祖である「アマミキヨ」にちなむ場が点在。そんなアマミキヨの伝説を追いながら、この地で生き続けている聖地をめぐる。

沖縄、百名ビーチ
百名ビーチは、琉球の創世神「アマミキヨ」が久高島から初上陸した際、降り立ったとされる聖なる海岸。海岸は白く輝き、遠浅で泳ぎやすい。海の透明度も沖縄随一。

沖縄本島南部の東海岸に位置するエリアは、美しい白砂と遠浅の海が広がり、高台からは絶景を望むことのできる自然に恵まれた地域だ。しかしここを特別な地たらしめているのは、なんといっても琉球の創世神「アマミキヨ」にまつわる聖地の多さだろう。古くから現在に至るまで大切にされてきた信仰の証しを訪ねる旅が、多くの人を引きつける。

アマミキヨの足跡

アマミキヨは、沖縄の島造り、国造りをつかさどったとされる女神だ。琉球の神話では、アマミキヨは東の海のかなたにある理想郷「ニライカナイ」から海を渡って来たと言われている。

その降り立った場とされるのが、沖縄南部の東端、知念岬から5kmほど東沖に行った場所に位置する久高島(くだかじま)だ。そのため久高島は、現在に至るまで沖縄随一の聖地とされており、御嶽(うたき。聖域とされている場)や信仰を表す史跡が多い。また久高島は五穀発祥の地との伝承もある。

久高島に降り立ったアマミキヨが次に訪れたのが「ヤハラヅカサ」。沖縄本島に足を踏み入れた最初の地だ。ヤハラヅカサは百名ビーチ沖の海の中にある。現在は琉球石灰岩で作られた石碑が立ち、アマミキヨの聖なる足跡を示している。

ヤハラヅカサから沖縄本島に上陸したアマミキヨは、百名ビーチの北端にある崖を登り、その上にある「浜川御嶽(はまがわうたき)」を仮住まいとした。「浜川」とは、「海のそばの湧き水」という意味。ここでアマミキヨは旅の疲れを癒やしたという。そしてその後、しばらくの間は近くの洞穴に住んだと伝えられている。

  • 沖縄、ヤハラヅカサ沖縄、ヤハラヅカサ
    アマミキヨが百名ビーチに降り立った時、最初に足を下ろしたとされる場に、写真の左端、海の中に見える岩「ヤハラヅカサ」はある。
  • 沖縄、ヤハラヅカサ沖縄、ヤハラヅカサ
    ヤハラヅカサのすぐそばにある、木々に囲まれた場所。海岸には防風林が隣接する。ここに座し、海岸で瞑想し、聖なる地のパワーを感じるのもいい。
  • 沖縄、ヤハラヅカサ
  • 沖縄、ヤハラヅカサ
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ラグジュアリーとは何か?

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