うとぅいむち – 伝統の風、新しい風 後編

沖縄では今、琉球王国時代の伝統を受け継ぐ食や芸能を体験できたり、やんばるの自然を舞台に新しいスタイルの“遊び”や野外料理を楽しめたりできる。クラシカルにモダンに、今までとは違う“沖縄を知る旅”へ。

Photo TONY TANIUCHI  Text Rie Nakajima

沖縄では今、琉球王国時代の伝統を受け継ぐ食や芸能を体験できたり、やんばるの自然を舞台に新しいスタイルの“遊び”や野外料理を楽しめたりできる。クラシカルにモダンに、今までとは違う“沖縄を知る旅”へ。

やんばる畑人プロジェクト

うとぅいむち 伝統の風、新しい風 前編より続く

やんばるとおいしく遊ぼう!

沖縄本島の北部、やんばる。ここでは豊かな自然を舞台に、やんばるでしか体験できない新しいカタチの“野外遊び”「やんばる野外手帖」を展開する、食のプロ集団がいる。やんばるを愛してやまない料理人と畑人(はるさー)がタッグを組んだ「やんばる畑人プロジェクト」だ。
例えば、沖縄の伝統的な木造の舟、帆かけサバニで海へ。途中、魚を釣ったり、サンゴを見たり、潮風を受けてゆったりと舟に揺られる。そんな貴重な体験を指南してくれるのが、プロジェクトの発起人の一人、満名匠吾(まんなnbsp;しょうご)さんだ。

「やんばる畑人プロジェクト」のメンバー。左から、発起人の一人の満名匠吾さん、事務局の小泉伸弥さん、装飾担当の崎濱ちはるさん
海辺で「アカジン(アカハタ)のサンゴ蒸し」を作ってくれた「やんばる畑人プロジェクト」のメンバー。左から、発起人の一人の満名匠吾さん、事務局の小泉伸弥さん、装飾担当の崎濱ちはるさん。
やんばる畑人プロジェクト

「子供の頃、半農半漁だった祖父と一緒に船に乗り、『この風が吹く時はあそこに魚がいる』なんて話を聞きながら、海に潜ってハリセンボンやサザエをとったり、それを祖母が味噌汁にしたり。県外へ出て沖縄を俯瞰して見ると、そういう遊びこそが楽しかったし、沖縄ならではのものだと痛感したのです」

「だからこのプランでは、サバニで海へ出て遊んだり、地元の魚はもちろん、仲間の島野菜やハーブなど、やんばるにある食材を使った野外料理で自然をまるごと楽しんでもらっています。料理や遊びの内容は、ほぼオーダーメイド。海以外、川遊びとトレッキング、畑の収穫体験を組み合わせたり、ホットサンドセットを持って森にピクニックに出かけたり」

楽しみ方は無限。やんばるの大自然が自分だけのものになるという特別な体験こそ、今まで味わったことのない心地よい刺激で満たしてくれる。

  • やんばる畑人プロジェクト。やんばる産のレモンやグァバ、シークワーサー、レモングラスなどのハーブで香りづけしたフレーバーウォーター
    やんばる産のレモンやグァバ、シークワーサー、レモングラスなどのハーブで香りづけしたフレーバーウォーター。
  • やんばる畑人プロジェクト。アカジン、紅芋、島豆腐のほか、花ニラやジンジャーリリー、ドラゴンフルーツのつぼみやオクラも加え、からしな(シマナー)のソースで食す
    アカジン、紅芋、島豆腐のほか、花ニラやジンジャーリリー、ドラゴンフルーツのつぼみやオクラも加え、からしな(シマナー)のソースで食す。
  • やんばる畑人プロジェクト。アカジンを料理
    アカジンを料理。鍋の下にはサンゴを敷き、海水を少し入れ、白ワインで魚や島野菜を蒸す。サンゴで蒸すと磯の香りが立つ。
  • やんばる畑人プロジェクト。伝統的な木造の舟、帆かけサバニ
    伝統的な木造の舟、帆かけサバニ。風と潮を読んで進める。石垣の船大工からサバニ造船の技術を継承した若手がやんばるで活躍中。
  • 海辺に咲くハマゴウ
    海辺に咲くハマゴウ。茎は地面をはい、半ば砂に埋もれて伸びる。果実は蔓荊子(マンケイシ)と呼ばれる生薬で鎮痛、鎮静、消炎作用がある。
  • やんばる畑人プロジェクト。仲間の畑でとれた島バナナやレモン、青パパイヤ、マンゴー、ゴーヤなど
    仲間の畑でとれた島バナナやレモン、青パパイヤ、マンゴー、ゴーヤなどなど。季節の野菜を収穫体験できるプランもある。

※『Nile’s NILE』2019年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。