ビッグホールは鉱山博物館の一部で、周囲は鉱山の活況期の街並みが再現されている。金属探知機のチェックを受けて入場した巨大な倉庫のような博物館には見上げるような機械が屹立(きつりつ)している。歴史、ダイヤモンドの加工プロセス、厳重に管理された貴重ダイヤモンドの展示室などが続き、屋外の展望所から見るビッグホールは緑色の水を湛えていた。
そばに簡素な案内板があり、「1870年7月16日、フリートウッド・ローストンが発見。産出したダイヤモンド:1450万4566カラット(2722kg相当)。水面までの深さ:174m。水深:41m。露天掘りの深度:240m。1914年8月に閉山」とあった。
1871年のダイヤモンド発見で採掘者が殺到し、ニューラッシュと呼ばれたが、英国の植民地州長官の名からキンバリーと改称され、世界のダイヤモンドの首都と呼ばれる街の誕生となった。
1880年、セシル・ローズらは数多の採掘者を統合し、デビアス鉱山会社を設立。ローズ自身ツルハシを振るってダイヤモンドを掘り、その金を元手に投機で成功し、全世界のダイヤモンド産出の9割を独占することになったのだ。ビッグホールに瓦礫と水がたまり危険になったことから、デビアス社によって地下1097mまで縦坑が掘られた。再現した当時の坑道の一部も見学することができる。
The Blue Train in South AfricaⅢに続く
※『Nile’s NILE』2020年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています