東京から2000km近く離れているが、2013年に新石垣空港が開港し、格安航空が乗り入れるようになると共に、国際線も就航するようになった。
一方、島の南西端にある石垣港は周辺の島々にフェリーが頻繁に運航する、交通の要所だ。港の周辺のコンパクトな市街地は、人口6万人弱の八重島諸島の政治、経済の中心地だ。
沖縄風情の漂う商店街の北に続く緩やかな丘に広がる大川地区は、琉球時代の役人らが19世紀に建てた住宅街であった。今も重要文化財に指定された建築や、古民家が残っている。
その一画にアートホテル石垣島が、2017年に新装開業した。白亜の13階建ての建物は石垣市で最も高層を誇り、最上階のスカイ・バーは市街や島々を一望にできる。
閑静な町並みに抱かれ、豊かな緑に囲まれたガーデン・プールがアーバン・リゾートの寛ぎを約束してくれる。
建物の3階から12階を占める245室の客室は、ツイン・タイプをメインにファミリー向けの4人使用も。すっきりと落ち着いたインテリアで、南には八重山諸島と青い海、北には緑深い山並みが望める。
客室には館内着と館内バッグが用意され、石垣島最大の大きさの大浴場でスパ三昧も。美肌に効くとされる、地下水をくみ上げた超軟水の湯をたっぷり供給している。
大浴場に隣接して、琉球伝統のアロマ・スパと地元に人気のもみほぐし店の出店が軒を並べる。客室出張でそのまま熟睡できるもみほぐしにも応じてくれる。
アートホテル石垣島では環境保全のために、エコな運営に力入れている。CO2排出削減のために簡易エコ清掃などに協力すると、館内で利用できる金券が提供される。
ロビーにはPCなども完備され、ワーケーション向きのビックテーブルにはコンセントもあり、長期滞在者にも好評のようだ。
館内のレストランは、朝昼晩と島の新鮮な食材が並ぶビュッフェ形式のレストラン、 二大ブランド牛の石垣牛と美崎牛が堪能できる炭火焼肉と中華料理の店が、地元にも人気だ。
日中はカフェとなる13階のスカイ・バー、プール・サイドでも軽食と飲み物が楽しめる。ロビー脇には、選んだ豆をその場で挽いて丁寧にハンドドリップしてくれるタグズ・カフェも。
ロビーでは夜8時から、島唄が楽しめるライブが人気だ。沖縄民謡、三味線などのライブを通して、ゆいぐくる(方言で心が結ばれるという意味)な体験が。
ロビー一画には民芸品やお土産などを集めたザ・アート・ショップも。また、ギャラリーもあり、地元石垣のアートとカルチャーの情報発信地ともなっている。
7月半ばまでは島のブルーを表現したアート、下旬からはTシャツ・アートの展示が予定されている。様々な色合いの八重山ブルーをテーマにした絵画、陶器、写真、アパレル、ガラス、ジュエリーなどに心身を洗われた。
ロビーのコーヒーショップの奥には、石垣観光や離島観光のパンフレットや雑誌が並び、ツアーなどをアレンジしてくれるリゾートラウンジが設けられている。
香りのいいコーヒーを片手に、旅気分を盛り上げてくれるゆったりとしたラウンジで、遥か八重山諸島に思いを馳せるのもいい。
石垣港から僅か10分のフェリーで着く竹富島にはぜひ、足を延ばしたい。竹富島は赤瓦屋根の民家と珊瑚砂の小道などが、町並み保存地区として残されている。名物の水牛車など、石垣島市内から僅か半時間で古き良き離島の原風景に誘ってくれる。
タイム・トラベラーの余韻に浸りながらホテルに戻ると、ここを定宿にしている海外のフライト・アテンダント達がロビーで談笑していた。ホテルからは空港へのバスも運航している。また、このバスを乗り継いで石垣島の北端まで足を延ばすことも。
石垣島内はもちろん、八重山諸島の旅の拠点にも最適なホテルだ。
●アートホテル石垣島 TEL0980-83-3311
※『Nile’s NILE』2021年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています