コロナを機に、暮らしの中のあらゆるものが解体され、再構築されゆく現在。非日常を味わい、日常に立ち向かう糧ともなる「旅」も大きな変容を迫られている。そんな中で新しい旅の在り方として提唱されているのが、地元に目を向けて楽しむ「マイクロツーリズム」や「ステイケーション」といった新たな概念だ。
そんな世相にいち早く反応し、リードしてきたのが、日本屈指のリゾート運営会社・星野リゾート。旅行好きを自任する大人たちは、ぜひ「軽井沢星野エリア(以下、星野エリア)」での極上のマイクロツーリズムを体感してほしい。
明治時代、外国人宣教師によって避暑地として見いだされて以来、異国情緒と豊かな自然で、長年にわたり夏の避暑地として多くの人を魅了してきた日本でも有数の歴史あるリゾート地でもある軽井沢。その歴史に甘んじることなく、新しい魅力を発信し続けているのも魅力の一つだが、そのムーブメントの中心となっているのが星野リゾートが運営する「星野エリア」。
森の中に趣の異なる三つの宿泊施設を軸に、温泉施設やショッピングエリア「ハルニレテラス」で構成されている。軽井沢に生まれ育ち、その魅力を熟知した星野リゾート代表・星野佳路氏だからこそのこだわりが詰め込まれ、軽井沢の魅力を味わい尽くすことができる滞在型リゾートだ。
その中でも、より深く軽井沢を味わえるのが、星野リゾートのフラッグシップブランドでもある、日本発の滞在型リゾート「星のや軽井沢」。野鳥の潜む森の谷あいに広大な水辺の庭園を囲むように客室が並ぶ谷の集落は、まるで「山あいの理想郷」だ。浅間山から湧出する源泉かけ流しの温泉と、地のものの旬を味わいながら、“現代を休む日”の贅沢を味わうことができる。
一般的に1泊2日食事つきプランの温泉旅館が多い中、あえて2泊3日のプランを基本としているのが「星のや」の特徴。そこには、日常から離れて時間を忘れた寛くつろぎのひとときを満喫してもらいたい─そんな思いが込められているのだろう。
日々、過剰な情報にさらされて疲れ切った体と心を3日かけてじっくりと解きほぐしていくプラン「脱デジタル滞在」など、自然とふれあい、自らの内面と向き合うさまざまなサービスやアクティビティーも用意されており、ゲスト一人ひとりがそれぞれの過ごし方を見出すことができる懐の深さもうれしい。
ハルニレテラス
より深く軽井沢の暮らしを楽しみたいなら、観光客や別荘地を訪れる人々で賑にぎわいを見せる「星野エリア」でのそぞろ歩きを。木々の隙を縫うように広がる遊歩道に沿って、温泉施設「星野温泉 トンボの湯」や、「軽井沢高原教会」などが点在しており、軽井沢の歴史や文化、自然を体感できる。川沿いのウッドデッキに設けられた「ハルニレテラス」は、軽井沢の日常を味わえるスポット。16軒の個性溢あふれるレストランやカフェ、ショップで「暮らすように楽しむ旅」ステイケーションの醍醐味を味わえるだろう。
「星のや」のもう一つの特徴は、宿泊プランに食事が含まれていないこと。もちろん宿泊者限定のメインダイニング・日本料理「嘉助」では、土地の旬を味わう「季節の夕食」の他、信州産のシードルを贅沢に使った「シードルしゃぶしゃぶ」など、ここでしか出会えない味を満喫できる。
加えて、「星野エリア」内のレストランからのテイクアウト、デリバリーなど、選択肢はさまざま。アクティブな方には「星野エリア」の遊歩道で森林浴を楽しみつつ、「ハルニレテラス」での気軽なランチやティータイムもまた楽しいだろう。
お仕着せではなく、ゲストが自分の過ごし方に合わせて自由に選択肢を組み合わせるのも、新しい旅の楽しみ方のひとつだ。
ブレストンコート ユカワタン
ワンランク上の特別な食事を楽しみたい方にお勧めなのは、「軽井沢ホテルブレストンコート」のメインダイニング「ブレストンコート ユカワタン」。
ゲスト一人ひとりの要望に応えるため、あえて9卓24席に絞ったゆとりある店内で、信州の水の恵みによるこだわりの食材で滋味溢れる食卓を提供している。
顔の見える農家から仕入れた素材を、フレンチの技術をベースとしつつも日本人の感覚に合わせた調理法で、独創的な一皿に仕立てるのがユカワタンの「Nippon French」。
季節ごとに変わる旬を活用したフルコースと、その日の料理に合わせたワインとのペアリングに酔ってみてはいかがだろうか。
※『Nile’s NILE』2021年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています