島の西、釣針の先端に、16世紀にこの無人島を発見したヨーロッパ人が築いた城塞(じょうさい)と、王立海軍ドックヤードがある。この一部の地域にアメリカズカップ・ビレッジが造られ、釣り針の内側の湾がレース海域となった。この湾に通じる入り江に、バミューダでも有数のリゾート、ケンブリッジ・ビーチズがある。浜辺に点在するピンクの優雅なビラはクリントン夫妻を始め、多くの著名人が常客だ。ここにランドローバー・クラブが設置され、関係者の宿泊地になった。
6月初旬、島の東端にある空港に着いたゲストたちは、いくつもの入り江と、かわいらしい町並みの景観を楽しみながら島を横断して、ケンブリッジ・ビーチズへ。送迎は、島に搬入された12台のランドローバー。蛇行する起伏に富んだ道を海風に吹かれて滑るように走る。
アメリカズカップ予選レース10日目、6月5日の午後まで、ゲストたちはフィッシング、ゴルフ、名物の香水作りなどバミューダならではのアクティビティーを楽しんだ。ランドローバーで島をめぐり、世界遺産となっている17世紀初めのたたずまいを残したセント・ジョージの村、城塞などを観光。要塞の頂に残され、今は博物館となっている英国軍駐屯司令官の館では晩餐会も開催された。
ランドローバーのブランド・アンバサダーでプロゴルファーの宮里美香さんが、ゲストとして在住のフロリダ州オーランドから参加。
>出身地の沖縄の海やランドスケープとは、また異なるエキゾチックな風景に感激した模様だ。都内で愛用しているランドローバーだが、リゾートでの乗り心地にも大満足のよう。
6月3日のレースは曇りがちだが9ノットの風に恵まれ、ソフトバンク・チーム・ジャパンとは13秒差でランドローバーBARが勝利。応援チームとして、沖合の大型クルーズ船から観戦した宮里さんは、「躍動感とスピードにあふれ、水上戦闘機ともいわれるボートの迫力に圧倒された」と話した。
「ゴルフと同様に、人の力はもちろんのこと、ゴルフクラブのようにボートというレースの道具も大きな役割があるのですね。沖縄に育つと意外にも海でのスポーツとは縁遠くなりがちですが、初めてのヨットレース観戦でマリンスポーツの魅力を目の当たりに体験できました」
快晴の翌日は海が凪(な)いでしまい、レースは中止となった。アメリカズカップ・ビレッジに設置されたランドローバーBARのベースのラウンジでくつろぐ。目の前の波止場からクレーンで陸揚げされるボートを観察できるのも、また一興だ。宙に浮いている水中翼カタマランは、まさに戦闘飛行船のよう。英国式のアフタヌーンティーや、シャンパーニュがゲストや関係者たちを和ませてくれた。
翌週のセミ・ファイナル・レースは、エミレーツ・チーム・ニュージーランドとの接戦だったが、ランドローバーBARは船にトラブルがあったこともあり、2連敗して敗退が決まった。
エインズリー氏は「今日から2019年のアメリカズカップ奪還に向けて再び努力を重ねてゆく」と宣言。ランドローバーも引き続き、スポンサーとなる構えだ。
充電期間中という宮里さんも「スポーツは勝ちたい、という動機で達成されるもの」と応援する。エインズリー氏が座右の銘としているという、「成功があがりでもなければ、失敗が終わりでもない。大切なのは続ける勇気だ」ウィンストン・チャーチルの言葉を改めて一同に捧げたい。
●ランドローバーコール
TEL 0120-18-5568
※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています