気随者になれる場所

京都の歴史や文化を継承する「ザ・ひらまつ 京都」

Text Nile's NILE

京都の歴史や文化を継承する「ザ・ひらまつ 京都」

祇園祭では山鉾が通る室町通に面した外観。京都市街地のほぼ中央に位置し、地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅より徒歩3分と利便性も高い。
祇園祭では山鉾が通る室町通に面した外観。京都市街地のほぼ中央に位置し、地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅より徒歩3分と利便性も高い。

古都・京都の中心、洛中室町通。かつて室町幕府の興隆とともに栄華を誇り、政治・文化の中心として発展を遂げた。内乱により荒廃した時期もあったが、江戸時代になると呉服屋が立ち並ぶ問屋街として活気を取り戻し、今でも創業から数百年という老舗が軒を連ねている。

この歴史あるエリアの一角に、ひらまつで初となる都市型ラグジュアリーホテル「ザ・ひらまつ 京都」がオープン。明治32(1899)年ごろに呉服屋として建てられた京町家を保存改修し、可能な限り部材を再利用しながら新たな建物として再生している。総合監修は、数寄屋建築などを手掛け、国内外に知られる中村外二工務店。室町通の歴史や文化、建物に対するひらまつの思いを実現するため、「はんなり(洗練されて上質で華やかな)」をテーマに、京町家のディテールやしつらえを随所に取り入れている。

建物正面の外観は、以前の姿をほぼそのまま再現。表格子はオリジナルで、江戸時代より呉服商の意匠であった糸屋格子と呼ばれるもの。また呉服店より前に建てられた蔵には、扉、金物、瓦の一部など当時の貴重な部材を残し、清朝時代の家具や、デンマークの巨匠デザイナーであるコーア・クリントの家具と調和させている。清朝時代の家具は館内や客室内にも取り入れ、長い年月の移ろいに思いをはせながら、ゆったりとくつろげるよう演出。その他にも町家建築の特徴である走り庭を再現するなど、そこかしこに当時の面影が見え隠れする空間とした。さらに、エントランスから始まる入り組んだ造りは、プライバシーを確保しながらも全体を緩やかに連続させた「日本の平面構成」となっていて、ゲストが心地よく滞在できるよう考えられている。

104.4㎡もある「ザ・ひらまつスイート」では、ゆったりとした空間に敷かれた鍋島緞通を始め、さりげなく置かれた花器などの調度品が客室を彩る。
104.4㎡もある「ザ・ひらまつスイート」では、ゆったりとした空間に敷かれた鍋島緞通を始め、さりげなく置かれた花器などの調度品が客室を彩る。

全29室の客室は、いずれも和を基調としたモダンで洗練されたインテリア。その中でも1室のみのスイートは、100㎡を超える広々とした空間となっている。格子からこぼれ落ちる光が美しい陰影を描き出す様を眺めながら、静謐な時間の流れに身を委ね、心身ともにリラックスした至福のひとときを堪能したい。

ダイニングの天井には、この町家を守ってきた梁が使われている。落ち着いた雰囲気が漂う空間で、竹林の庭を眺めながら食事を楽しむことができる。
ダイニングの天井には、この町家を守ってきた梁が使われている。落ち着いた雰囲気が漂う空間で、竹林の庭を眺めながら食事を楽しむことができる。

レストランはイタリア料理と割烹の2店舗。竹林の庭に面するダイニング「la Luce」では、「リストランテASO」などのレストランで研鑽を積んだ筒井崇海氏が、京野菜を始めとする地元食材を生かしたイタリア料理に腕を振るう。一方で、割烹「いずみ」では京都の名店で修業を重ねた小泉壮登氏が旬の食材を取り入れた本格的な懐石料理を提供。欅の無垢一枚板を使用したカウンター越しには、紀州青石を中心とした美しい松の庭を望むことができる。

「表屋」と呼ばれる商売をしていた場所には、この町家が建てられた頃の棟木も残されている。松の庭の深く鮮やかな緑が、ゲストを出迎える。
「表屋」と呼ばれる商売をしていた場所には、この町家が建てられた頃の棟木も残されている。松の庭の深く鮮やかな緑が、ゲストを出迎える。

ひらまつの「思うように気ままな過ごし方がかなう場所」という考えを見事に実現した「ザ・ひらまつ 京都」。室町通の歴史や文化を受け継ぎながら新たに生まれ変わった心地よい空間で、細部まで行き届いた最高のもてなしがゲストを迎えてくれる。誰もが気ままにくつろげる特別な場所で、大人だけの上質な休日を過ごしてみてはいかがだろう。

●ザ・ひらまつ 京都 TEL075-211-1751

※『Nile’s NILE』2020年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。