緑の中に広がる、48棟の戸建ての客室。琉球赤瓦の屋根には、愛嬌(あいきょう)のあるシーサーが鎮座している。琉球石灰岩で組まれたグックという石垣には、台風の強風でも崩れないよう島の人の知恵と技術が詰まっている。客室の間は同じくサンゴの砂が敷き詰められた白い道でつながれ、まるで国の重要伝統的建造物群保存地区に登録されている竹富島の、もう一つの集落のようだ。
観光客の少ない早朝、宿泊客限定の水牛車で島内の散歩を楽しみ、日中は海で遊び、島の人から民具づくりを教わったり、客室で風の音を聞きながら読書をしたりと、のんびり過ごす。
夕方には、「ゆんたくラウンジ」で島の演者による優しい三さん線しんと唄に聞きほれる。おなかがすいたら、沖縄特有の食材とフランス料理の技法を用いたディナー「琉球ヌーヴェル」を堪能したい。珍しい魚介類や島野菜、南国の果物、豚や牛、ハーブやスパイスなど、沖縄の上質な素材を、シェフの新たな発想とフレンチの手法で仕上げたおいしさ。朝食では、伝統の重箱料理「ウサンミ」を、八重山で親しまれている食材でアレンジした「琉球朝食」など、滋味豊かな活力の湧く食事がいただけるのは、実に「星のや」らしい。
夜には明かりを最低限に抑え、星が瞬く漆黒の闇に包まれるのも島ならでは。島の自然を感じ、一体となることで、竹富島を本当に理解することができるのだ。
●星のや竹富島
沖縄県八重山郡竹富町竹富
TEL 0570-073-066(星のや総合予約)
※『Nile’s NILE』2019年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています