パイロット・ウォッチという美学

毎年一つのコレクションにフォーカスし、リニューアルを重ねてきたIWC。2021年はパイロット・ウォッチ・イヤーとなった。サイズダウンされた41mmの「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」や43㎜の「ビッグ・パイロット・ウォッチ」などが話題を集める中、堂々たる46. 2mmの存在感を誇る「ビッグ・パイロット・ウォッチ」シリーズの魅力も、改めてクローズアップされてきた。

Text Yasushi Matsuami

毎年一つのコレクションにフォーカスし、リニューアルを重ねてきたIWC。2021年はパイロット・ウォッチ・イヤーとなった。サイズダウンされた41mmの「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」や43㎜の「ビッグ・パイロット・ウォッチ」などが話題を集める中、堂々たる46. 2mmの存在感を誇る「ビッグ・パイロット・ウォッチ」シリーズの魅力も、改めてクローズアップされてきた。

IWCのパイロット・ウォッチの歴史は1936年の「スペシャル・パイロット・ウォッチ」にさかのぼる。その後40年に製造された55mm径のビッグ・パイロット・ウォッチ、48年に英国空軍用に開発された伝説的な「マークⅪ」などを経て評価を確立。航空計器にインスパイアされた実用性と堅牢性を兼ね備えたIWCのパイロット・ウォッチは、今なお冒険心を刺激してやまない。

中でも40年のビッグ・パイロット・ウォッチを着想源に、2002年に46.2mmのケースで登場した「ビッグ・パイロット・ウォッチ」コレクションは、アイコニックな存在感で高い人気を誇る。

今年、サイズダウンしたパイロット・ウォッチが発表され、軽やかなスポーティーさや快適な装着性が話題だが、重厚にして王道的な存在感や視認性の高さ、軟鉄製インナーケースによる耐磁性、削ぎ落したマスキュリンな機能美や身に着けたときの高揚感は、
46.2mmモデルならでは。手首から外してデスクに置いても絵になる。

ビッ グ・パイロット・ウォッチ
約7日間のパワーリザーブに加え、耐磁性軟鉄インナーケースも装備。クラシック・パイ ロット・ウォッチ然とした重厚感に、ダークグリーン文字盤が鮮烈な魅力を放つ。「ビッグ・パイロット・ウォッチ」自動巻き、直径46.2mm、SSケース×カーフストラップ、6気圧防水、1,600,500円。

これまでに限定仕様も含め、約200種類ものモデルが登場し、熱い視線を浴びている「ビッグ・パイロット・ウォッチ」だが、初のダークグリーン文字盤モデルは、先日発表されるやセンセーションを巻き起こしている。グリーンダイヤルは最近のトレンドの一つだが、1903年以来英国のレーシングカーに用いられてきたブリティッシュ・レーシング・グリーンを踏まえたカラーの採用が、IWCらしい。

大空を思わせるブルー文字盤を備え、新たな魅力をまとった「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー」も発表された。

ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー
IWCの一つの技術的到達点を示す伝統のパーペチュアル・カレンダー機能を搭載。文字盤とストラップを、晴れ渡った大空を思わせるブルーで統一。「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー」自動巻き、直径46.2mm、SSケース×カーフストラップ、6気圧防水、3,564,000円。

85年に、当時の技術責任者クルト・クラウス氏が完成させた「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー」は、機械式時計復興を推進した名作として時計史に刻まれているが、以降パーペチュアル・カレンダーは、IWCを象徴する複雑機能とされてきた。

4桁の西暦表示や南北両半球の高精度ダブルムーンフェイズなどを搭載し、リューズ一つで複雑なカレンダー機能の調整が可能という利便性も評価が高い。両モデルとも約7日間ものロングパワーリザーブを持つ自社製ムーブメントが搭載され、信頼性の高さは折り紙付きだ。

腕時計の完成度のみならず、企業としての哲学や姿勢も注目を集めている。以前から、全モデルを必ず修理するという永久保証を約束していることや、CSR活動に積極的なことが支持されてきたが、これに加え、通常2年の国際保証を8年にまで延長するオンラインプログラム「MY IWC」を新たに導入。

2018年に新ファクトリーが完成し、技術態勢が一層充実してきた自信が、その背景にある。また、サステナビリティ委員会を設け、2年ごとの達成目標と長期的なロードマップを掲げ、社会的・環境的にプラスになる責任ある行動を発信している。

今やIWCの腕時計を身に着けることは、サステナブルなあり方に対する支持の表明でもある。

●IWC
TEL 0120-05-1868

※『Nile’s NILE』2021年6月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。