
奈良県東部、三重県との県境に位置する御杖村(人口約1,300人)に、約9,500万円をかけて建設された公衆トイレが物議を醸している。住民の間では「1億円トイレ」と揶揄され、「高額すぎる」との批判が続出している。
トイレは2023年2月に完成し、男女各1つの個室トイレ、バリアフリー対応、おむつ交換台を備えている。隣には旧くみ取り式トイレがあったが、村は新設を決定。費用は10年かけて返済する「過疎債」で賄われ、国の地方交付税が7割、村が3割を負担する。一部の住民は「他に有意義な使い道があったのでは」と疑問を呈している。
**■ 村の狙いと村長の説明**
村長によると、トイレは「伊勢本街道」の西の入口に位置し、観光客へのアピールを目的としている。トイレには観光パンフレットを設置し、村の魅力を伝える狙いがある。また、建設には奈良県産ヒノキなどの地元木材を使用し、村の資源を活用する意義があったと主張。加えて、物価や人件費の高騰も高額の一因と説明している。
**■ トイレの利用状況と問題点**
平日昼間には1時間で10人ほどが利用し、駐車場には複数の車が止まることも。伊勢本街道を歩くツアーのガイドや添乗員からも「きれいなトイレはありがたい」との声がある一方で、「男女1つずつでは足りない」「30人規模の団体には不便」との指摘もある。
**■ 近隣トイレとの比較と費用の妥当性**
御杖村と隣の曽爾村には、問題のトイレ以外に5カ所の公衆トイレがあり、近隣の曽爾村のトイレは約20年前に1,170万円で建設、御杖村東側のトイレは2011年に駐車場込みで約2,000万円で整備されている。問題のトイレは用地取得費(約700万円)、駐車場・ベンチ設置費(約1,600万円)などを含むが、それでも費用の高さが際立つ。
**■ 村と住民の意見の対立**
村長は「費用は適正」と主張するが、住民の一部は「1億円弱は納得できない」と反発。奈良の山間に建てられた「1億円トイレ」の妥当性をめぐり、村と住民の意見は対立したままとなっている。
出典:毎日放送
https://youtu.be/0JC3C3bMZVU