
恵方巻の大量販売と廃棄問題
2月2日、節分を迎えたスーパーなどで、大量の恵方巻が売れ残る様子が見られ、SNSでは「半額でも売れ残っている」「廃棄されるのはもったいない」といった声が相次いだ。小売店が大量の売れ残りや値引き販売のリスクを抱えながらも、なぜ恵方巻を大量に販売するのか、その背景を探る。
恵方巻の歴史と全国展開の経緯
恵方巻は、大阪の商人が商売繁盛を願って食べたことが始まりとされる(諸説あり)。全国的に広まったのは、1998年にコンビニチェーン「セブン-イレブン」が全国販売を開始したことがきっかけだった。2010年代以降、小売店の恵方巻販売が加速し、種類も多様化。しかし、大量廃棄が問題視され、2019年には農林水産省が適正販売を求める呼びかけを行う事態に発展。食品ロス削減推進法も施行され、毎年この時期になると恵方巻の販売・廃棄が議論の的となっている。
今年の恵方巻の販売状況と価格動向
帝国データバンクによると、今年の恵方巻の平均価格は前年比で上昇。一般的な五目・七目巻きは1094円(前年比14.2%増)、海鮮恵方巻は1944円(同12.4%増)となった。例えば、ライフでは「北海道産帆立入り海鮮太巻」1706円、「伊勢黒潮真鯛入り贅沢海鮮太巻」2354円など、高価格帯の商品も多数販売された。
売れ残りの要因と小売業の戦略
元ローソン・バイヤーで消費経済アナリストの渡辺広明氏によると、2月は小売業にとって売上が落ちやすい時期であり、バレンタイン商戦も百貨店や専門店に流れるため、スーパーは恵方巻に力を入れざるを得ないという。しかし、今年は例年以上に販売量が増えた結果、在庫過剰感が強まった。
また、消費の二極化に伴い、低価格と高価格の商品が差別化され、高価格帯の商品が多く投入されたが、売れ残りも目立った。例えば、1000円以上の恵方巻と300円程度の商品を比較したところ、「価格差ほどの味の違いを感じない」との声もあった。
今後の展望
小売店は前年の販売動向を基に価格や数量を決めているが、今年の過剰販売を踏まえ、来年以降は販売量を調整する動きが出る可能性がある。恵方巻商戦が今後どう変化するのか、引き続き注目が必要だ。