完璧の向こう側を目指す

受け継がれる「妥協なき もの作りのスタンス」。臨場感あふれる音を、自宅に居ながらにして何度でもよみがえらせる。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni) Text Yasushi Matsuami

受け継がれる「妥協なき もの作りのスタンス」。臨場感あふれる音を、自宅に居ながらにして何度でもよみがえらせる。

音楽の感動を100%伝える至高のオーディオ

そんな技術と思いの詰まったオーディオ・ノートの製品の中でも、フラッグシップたるべく13年に開発されたパワーアンプが「Kagura」である。左右のチャンネルを独立させたモノラルパワーアンプで、同社を象徴する純銀製配線材の使用はもちろん、専用パーツを新開発し回路にもこだわった。

モノラルパワーアンプ「Kagura」
オーディオ・ノートのあらゆる技術とノウハウを投入し、2013年に完成したモノラルパワーアンプ「Kagura」。試作の製作に1年、さらに細かい音質調整に1年を費やした労作。創業者の近藤氏も好んだ表現力豊かなオールドタイプの真空管、直熱3極管211を採用。

同社唯一にして究極のターンテーブル「GINGA」も、そのスタンスを雄弁に物語る。レコード盤を乗せるプラッターやベース部に、異素材の組み合わせを導入することで、無駄な残響を抑えたクリアで生き生きとした音を実現。御影石に銅を挟み込んだ台座部分も含め、総重量は120kgに及ぶ。

さらにユニークな糸ドライブ方式、電源部からモーターユニット、軸受けに至るまで、通常ではあり得ないこだわりや、世界初の技術が詰めこまれている。

ターンテーブル「GINGA」
最高のアナログサウンドを追求し、2009年に完成を見たターンテーブル「GINGA」7,854,000円。日本の愛好家に好まれた糸ドライブ方式実現のため、全国の繊維メーカーにあたり、結び目のないループ糸も完成させた。

この「Kagura」と「GINGA」の音を、神奈川県川崎市にある同社のリスニングルームで体験する機会を得た。まず、重厚感あふれる外観に目を奪われる。卓越したポテンシャルがそのまま形になったような機能美とでも言ったらいいだろうか。洗練されていながら、ただならぬオーラを感じさせる。

「GINGA」から生み出された音が、プリアンプの「G-1000」を経て、フラッグシップパワーアンプ「Kagura」から届けられた瞬間、あたかも歌い手や演奏者が、その場にいるかのような錯覚にとらわれる。通常とは別次元のダイレクトさ、体験したことのないナチュラルで躍動感に満ちた音。

さまざまな音が精緻に積み上げられたレコード作品では、立体的な音楽世界がまるで絵画を見るかのように聴こえてくる。ライブレコーディング作品では、歌い手の感情やささやき、演奏者たちのグルーブ感、そして会場の気配や熱気までもが伝わってくる。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。