真のラグジュアリーとは 後編

現代イタリア料理と、日本の風土や文化が融合したガストロノミー「ファロ」。料理を通して自然の多様性や新しい価値観を伝えてくれる。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

現代イタリア料理と、日本の風土や文化が融合したガストロノミー「ファロ」。料理を通して自然の多様性や新しい価値観を伝えてくれる。

ファロ
発酵飲料「コンブチャ」を自家製する。写真は左よりゼラニウム、沖縄のレンブ、東京の松の葉、奈良の小梅。ファロではこれを飲料の他、調味料としても使用している。

加藤氏も、「近い将来、無駄を出す余裕はなくなるはずです」という。地球規模で見ると、人口急増や気候変動の影響で、2050年には食料の供給が窮迫する可能性が高いと言われている。食料自給率が低い日本では、食料事情の見通しがひときわ立ちにくい。「そのような状況を知らず、食品ロスや環境破壊に目を向けないなんてことは、あってはなりません」
ちなみに加藤氏は世界の環境問題や社会問題全般に対して常にアンテナを張り、最近ではIPCC(気候変動に関連する科学的評価を担当する国連機関)の報告書を読んで情報を得ているそうだ。これからは料理人であっても料理だけに興味を持ち、社会の動きを知らないでは通用しない。

「見たくないものから目を逸らし続けるのも、もう限界に来ています」

未来に伝える真に美しく健やかな料理とは、どのような料理なのか? 料理人は何ができるか? そんな問いを日々自分たちに突きつけている二人。料理界に、そして社会に新しい価値観を提示してくれるに違いない。

ファロ

●ファロ
東京都中央区銀座8-8-3
東京銀座資生堂ビル10F
TEL 0120-862-150(フリーダイヤル)、03-3572-3911
faro.shiseido.co.jp

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。