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| Janet Biggs, Breathe,
2005, digital C-print, installation view, Hermes, New York, NY. (photo
credit: Richard Cadan) |
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| Janet Biggs, Alice
and Nav, 2005, digital C-print, installation view, Hermes, New York,
NY. (photo credit: Richard Cadan) |
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| Janet Biggs,
Hermes video installation (detail), 2006. |
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初めてビデオを手に取ったのは『少女と馬(96年)』の制作中だ。幼い時から、女性にとって馬は様々な憧れと欲求の象徴であり、特別な意味を持つ存在。そんな少女達と馬との親密な関係に自分の過去を見つめ、「初めてのパワーの体験」を見つけようとしていた時である。
当時はそれをどう表現してよいのか分からず、とにかく馬場に向かった。
馬がサークルを半分ほど走るのを見た時、それは動画だ、とひらめいた。すぐにビデオを入手するも、友人にスイッチの入れ方から教わるほどの全くの素人。技術専門家に相談しつつ試行錯誤を繰り返し、その作品は会場を取り巻く巨大なプロジェクションとビデオモニター、スティルによる雄大でロマンティックなマルチメディア・インスタレーションに結実する。
動画こそが求めていた表現手段だった。効果とテクノロジーを知れば知るほどに新しいアイデアが訪れ、作れば作るほどクオリティーが欲しくなる。
「可能と思っていたことが後で不可能と判明し、解決に苦労することも多々あります。でも結果的にそれが斬新な表現方法に結びついたり。とにかく今はビデオを通じて面白いアイデアが訪れるのです。でも、もちろん絵画表現に適したアイデアが訪れれば、絵を描きます」
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Janet Biggs, Hermes video
installation (detail), 2006. |
アスリートがアートに
この年から、バスケットボール、シンクロナイズドスイミング、レスリング、アメリカンフットボールなどのアスリートが作品に浮上し始める。
ワールドクラスの選手たちの制御不可能な情熱、何かに取りつかれたような執念、献身、孤独に魅了されてきた。表現されることを待っていたテーマが、手段を見つけて噴き出してきたといえる。協力してもらう選手は慎重に、的確に選んできた。最近では国内外のチャンピオンと仕事をすることが多いが、そんな中でずっと軽乗選手のリサーチを続けていた。絶妙なタイミングでHermes
Artist Windowsの依頼。作品にするのに、まさにパーフェクトな時だった。
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| Janet Biggs, Hermes video
installation (detail), 2006 |
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「Dinaburg
Artsのエグゼクティブ・ディレクターが、初めてエルメスの方達とスタジオにいらしたのが2年前でした。それから何度か訪問を受け、今回のお話をいただいたのは(展示の)6ヶ月前。作品やテーマに対する要求は一切ありませんでした。
この作品で、『困難なことを、容易と思わせるために必要とされる努力』を探求してみようと思いました。」
軽乗とシンクロを取り上げたのは、アスリートに要求される途方もないスキルと、競技の持つ劇場性とパフォーマンス性のため。
その劇場性はBusby Berkeleyの絢爛なミュージカル*に通じ、極めて様式化された表情と動き、そしてコスチュームは文化思想家Judith
Butlerの『アイデンティティーのパフォーマンス的な性質に関するアイデア**』を想起させるという。

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Janet Biggs, Flight, 1999,
Four-channel video installation, installation view, Vantaa
Art Museum, Vantaa, Finland. |
水中や馬上という特殊な環境で優雅に振舞うには、超人的な強さと努力、競技への献身が必要だ。しかし、その跡はきれいに覆い隠され、一見すると若さが全てを容易にしているかのよう。Butlerのアイデアを作品の中で拡張し、ロマンティックな「若さによる容易さという見せかけ」の後ろにある、努力とパフォーマンス性の存在を明らかにしたかった。
「今は、訓練され振付けられたアスリートの動きと、所属する社会から厳しく振り付けられた個人の振る舞いとの間に関係を引くことに関心があります。」
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| Janet Biggs, Ativan,
2003, Three-channel video installation, installation view,
Linkopings Konsthall Passagen, Linkopings, Sweden. |
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軽乗のイメージは、USチャンピオンのDevon氏に毎日4時間づつ、10日間演技してもらったもの。それを最終的に1/160の長さ、1分半に凝縮した。
11月16日からはチェルシーのClaire
Oliver< http://www.claireoliver.com/index.html
>で個展Like
Tears in Rain」 < http://www.jbiggs.com/index.html
>が始まる。
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*Busby
Berkeleyの絢爛なミュージカル
Busby Berkeley(1895~1976年USA)振り付け師。オリンピックメダリストでその美貌で映画スターとなったEsther
Williamsの1930、40年代のミュージカル水中ショーなどを手がける。
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Judith Butlerのアイデンティティーのアイデア
文化思想家のJudith Butlerは著作"Gender Trouble"(1990)に見られるように、「アイデンティティのパフォーマンス(演技)的な本質」についてのアイデアを提案した。すなわち
「"表現"の背後にアイデンティティーの存在はない。・・・アイデンティティーのほうが、その"結果"と言われている"表現"によって演技的に作られているものだ。」
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Janet Biggs
(オフィシャルサイト : http://www.jbiggs.com)
ペンシルバニアに生まれる。NY在住。1996年よりビデオアートに転向。スポーツ、馬を初めとした動物など複数のイメージの配置によって見る人を作品の内側の体験へと誘う。11月16日から12月15日まで、チェルシーのClaire
Oliverにて個展が開催される。
アメリカ、ヨーロッパで展覧会多数:Herbert F. Jo hnson Museum of Art, Cornell
University, Ithaca, NY :Rhode Island School of Design Museum,
Rhode Island :Cincinnati Contemporary Art Center, Ohio :Dwellan
- Lingering Images, Charlottenborg Exhibition Hal, Denmark :Venden
Varassa (Dominated by Water), Vantaa Art Museum, Finlandなど。
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NILEport NY : Ayano Matsumae
東京大学文学部・美学芸術学科卒業。東京で国内外のアパレル、イベント企画会社等を経て、フリーランスライターとなる。現在ニューヨーク在住、アート、ライフスタイル、フード・カルチャー等をカバー。
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